秋月

  

一緒に福岡に遊びに来ていた相方と、私の弟と三人で、車に乗って福岡県甘木は秋月へ。
雨がしとしと降っていて空も薄暗かったので、とりあえず「コーヒー&レストラン」と書いてあるログハウス風のお店に入ってみた。
様子がおかしい。
『けものがれ』の世界。

その店の中には妙な秩序が流れていて、ふと店の看板を見るとその店の名は、

「びっきぃ(美っ季ぃ)」。

店の入り口には愛想の悪い大形犬がふてぶてしく横たわっていて、きっとこいつの名前がヴィッキーなのだろうということになり名前を呼んでみたけれど、一向に振り向く気配もない。
仕方なく、きっとこの店のオーナーのお孫さんの名前がみきちゃんなのだということに、半ば三人とも義務的に納得して秋月を後にしたのでした。

その後、三人のあいだでは幻の地域通貨「びっきー」がしばらく流行り、会話のなかには
「はい、5びっきーね」
などという言葉がでてくることもしばしば。